「出光コレクションによるルオー展」東京都現代美術館

 なんといいますか、感覚と感情の剥離といいますか、本能と無意識の剥離というか。言葉では説明出来ないけれど無理矢理説明しようとするならそういう形な情感を抱いたのですよ。
 本能的な部分でとてもぐいぐい引っ張られるように感じ入ったのに、無意識部分では認めようとしてくれない。感覚ではもの凄く惹かれているのに、感情では楽しんでない。美術館に行ってここまで感覚と感情が乖離したのは初めてだったので、一人内面の振幅にやられてグロッキーになってました。
 うーん、楽しげなのになんで感情面で納得してないんだろう。
 
「辱しめを受けるキリスト」なんかはとても好きでした。あと「《ミセレーレ》28 “われを信ずる者は、死すとも生きん”」なんかが。連作ものは結構楽しいんですが、《受難》とか《流れる星のサーカス》は感覚面でも感情面でもひっかからなかったので、まぁそんな感じです。

「日本の美術、世界の美術─この50年の歩み」東京都現代美術館常設展

 お目当てですよ。サム・フランシスと宮島達男ですよ。
 1階部分が結構以前と変わってて、地下鉄の路線図をモチーフにした奴とか、あの¥マークの奴とかなくなってた。変わってた部分をふらふら見てみる。美術館で見てるというのに「あ、これ自分が好きそうなものだ」という感情を抱いていた。それは黒雨が好きじゃないものでしかないんだと、今更ながらに気付く。

『禁涙鏡事件』

『禁涙鏡事件』上遠野浩平講談社ノベルス講談社
  ISBN:406182404X

 これほどまでに惰性で読めるとは。惰性万歳。うーん、前作までは惰性といえども多少は楽しんで読んでたのに。今作、黒雨は読み終えたのは惰性以外の要素が何もなかった。
 以前はまだ何か語り入ってたけれど、今回どちらかというとキャラクターに焦点が当たってしまっている気がする。そして、上遠野浩平の場合、キャラクターに魅力はないんじゃないかと思う。そのキャラクターがシナリオ上どう行動するかという情報が、キャラクター自身に刷り込まれるから、キャラクターが立ったように見えるという、見せかけだけのキャラクター精製に感じられるんだ。
 なので、こういったキャラクターに焦点を当てる方がメインになってくるように(特に最後らへん)話は、上遠野浩平にある魅力を削いでしまうんじゃないのかなぁ、とうつらうつら思うわけです。

『スクラップド・プリンセス サプリメント3 聖地に流れる円舞曲』

スクラップド・プリンセス サプリメント3 聖地に流れる円舞曲』

  ISBN:4829116587

 おかしいな。本の整理していただけのはずなのに、なんか一冊読んでたよ。
 というのも、段ボール封入予定本の中に一冊だけ未読を発見して読んだのがこれってわけなのですよ。ああもうめんどくさいなぁ。
 感想も何も、まぁなんかライトノベル的じゃないですかね。スクラップド・プリンセスというシリーズの存在というのは、ライトノベルというジャンルにおけるSFとファンタジーの強引な融合という説明で片がつくと勝手に思っています。このシリーズは、ライトノベルっつージャンル論とからめると引き合いに出してもいいけれど、他の事については、平均値には達しているってだけで済ませられてしまうと思います。以上。

「ライトノベル」との距離感 前説

 最近、薄々と分かってきた。ライトノベルと呼ばれるジャンルと黒雨の間の距離感が。
 その事に触れるにつれ、まず黒雨のライトノベル遍歴について、自分のためにも整理したいと思う。
 
 黒雨が本当に初めて現在ライトノベルというジャンルについて触れたのは、中学2年の頃(1996年)、クラスメイトに借りた『セイバーマリオネットJ2*1』だった。
 そこから黒雨が次に手を出したのは、1996年当時の新刊──ではなく、1996年当時にブックオフで100円で売られていたものへとシフトする。
 ブックオフバイトした身だからわかるけれど、現在なら売れ筋のものが出てきているからまだしも、数年過ぎたら回転が目に見えて遅くなるため、年度で切って100円に落としている。当時だと、おそらく内容問わず、年度でどんどん落としていてくれたんだろう。金のないガキにとってはとてもありがたく色々読んでいった。
 こういう買い方をしていた理由は単純明快で、当時の近所の図書館にはコバルト系くらいしか置いてなく、黒雨の当時の小遣いが700円だったので一月5冊は買いたかったから。
 ともかく、メインを近所の古本屋にしつつ、新刊にも手を出していき、黒雨の現在が出来上がっていきました。ジャンルも何も考えず安いという理由で古本屋で買い漁り、残った金で新刊を買うというスタイルの繰り返しで、高校生活を過ごしつつ、大学に出てからも変わらぬ生活をして今に至るわけです。
 まぁこんな奴が今の「ライトノベル」って奴とどんな距離感を感じてるかってのをちょっと書きたいので、前提としてまぁ誰も読みたがらない黒雨の読書歴っぽい文章をちょっと書いておきますよ、という事で。GW中にちょっと文章に纏めておきたいなぁ、とね。ほら、暇だし。