『月長石の魔犬』

『月長石の魔犬』秋月涼介講談社ノベルス講談社
  ISBN:406182192X
 秋月は確かにすこぶるどうでもよかったです。だからあなたも読むべきです。ほら、怖い物見たさってあるじゃない。
 とりあえず、全く無用なキャラクターが乱立して、意味のない設定を羅列して枚数を稼ぐというのは、試みとしてすら認められないのです。せめて意味づけして下さい。一生懸命考えたのはわかります。それだけはわかりました。一生懸命さは伝わりました。ここをこういう風に繋げたらおもしろいんじゃないか、と考えている事はわかりました。
 でも、そういうことが読者にわかってしまう事で、結構さめますよね。
 わかられてしまうエンターテイメントというのはネタを全て知っているのに見る漫才と同じです。何度見てもおもしろいものは確かにあります。完成度が高く、知っていてもなお楽しめるようなネタならば。
 っていうか、続編をにらんだキャラの設定は、続編が書ける状況で書いて下さい。そして、続編がない場合でも、一作を読んだだけの場合でも、わかるようにした方が良いです。

 何で頼み込むような姿勢で書いているかというと、完膚無きまでに作者が可哀想になったからです。黒雨に可哀想と思われるのは、そうとう酷い状況だと思うのですが、何か?
 それ以前に、黒雨自体が何にもまして酷いのでどうでもいいです。