『我輩はカモである』

『我輩はカモである』ドナルド・E・ウェストレイク/池央耿:訳/ハヤカワミステリアス・プレス/早川書房
  ISBN:4151000860
 
 小説は面白かったんですが、これを読むことになった経緯は面白くないです。
 前に骨折記念麻雀をやったのですが、その時に後輩からプレゼントされました。『我輩はカモである』を。
 何かな? それはこれから麻雀でカモにしてやるという意味だろ? ふざけるなよ?
 
 その日は負けに負けました。
 
 ええと、内容ね。カモにされやすい主人公が、ドタバタに巻き込まれていくと。面識のない叔父マットから三十万ドル(税込五十万ドル)の遺産を相続して、ドタバタと軽快なテンポで物語は進みます。
 ニューヨーク市内をどたばたと動き回る主人公が楽しいんです。コミカルに進んでいくこの展開に引き込まれそうになるんですがね。「が」ですよ。
 麻雀打つときにぴったりだとプレゼントされたことを思い返し、黒雨の人生はこんな感じか、ああ、そんな気もしてきた、となんかちょっと鬱に入って嫌な感じ。
 
 そうですよ。黒雨はカモなんです。みんなたかればいいと思います。