『ネコソギラジカル(上)十三階段』
『ネコソギラジカル(上)十三階段』西尾維新/講談社ノベルス/講談社
ISBN:4061823930
このシリーズって、一旦踏み外すと何も楽しめなくなるんですね。
というわけで、黒雨は楽しめませんでした。
以上、って終わりたい気分だけどまぁ多少は色々書きます。
なんていうか、西尾維新はエンターテイメント作品に特化しています。これはさんざん言われたことで、ミステリかミステリじゃないとかもうそんな次元は超えてるのでいいとしましょう。エンターテイメント。
エンターテイメントということは、単純に人を楽しませるためのものと思っていいと思うので、これで楽しめる人は楽しめると思います。っていうか、本気でこの小説は、ものすごい力技でかいているので、「物語」というテーマに対してエンターテイメント的なストーリーを使うことで読者に読ませようとしている。もうこれはセンスでしょう。
んで、そのセンスが黒雨とはあわない。それだけ。前作『ヒトクイマジカル』を読んでなんだけど、なんか黒雨は戯言シリーズのセンスが自分に決定的にあわないってことでこのセンスを踏み外してしまったので楽しめなくなりました。
そういえばこんなようなテーマ性の小説を書いたってのでずっと読んでて谷川流を思い浮かべてた。谷川流は『学校を出よう!』シリーズにおいてSFのような「手法」でこれを料理したので、黒雨が西尾維新の小説に抱くようなセンスのずれを起こしてしまっても、センス以外の部分で読ませるところがあったのでそこが違いか。いや、谷川流のセンスは黒雨の好みにあうので十分に楽しんでギンギンだったんだけど。
そんなわけで、センス以外の部分で強引に読者を掴んできたこの上巻は黒雨の好みではなかったり。あと2冊でどんなねじくれた事をやってくるのかには注目するのでシリーズ完結までは付き合っていきます。多分、センス以外の部分でなんかやるでしょ。
というわけで、中・下巻を読み終わるまで、評価不能なのは、変わらず。なんかトリッキーなことをやるタイプの作家だと思うんだけれど、そういう風なイメージがついてしまっていることが逆に先入観になってしまっているのかもしれない。