『食卓にビールを(3)』

食卓にビールを(3)』小林めぐみ富士見ミステリー文庫富士見書房
  ISBN:4829162902
 
 最近、まったく本読まないのに本だけは買う生活をしていたので、一生懸命読もうと思います。というか、もう本を買う金はない。
 というわけで、以前に買った小林めぐみの新刊です。
 さて、内容ですが、やっぱり小林めぐみは凄いっちゅうわけでした。
 ミステリに「日常の謎」があるなら、SFに「日常のSF」。んで「日常のSF」というなら『食卓にビールを』を挙げよう。
 といっても、日常に存在するSFじゃない。日常にSFが紛れ込む方の話。
 主人公は女子高生の作家でSEの夫を持つという非日常的な設定なんだけれども、それが日常であることが前提。高校での出来事だったり、家での出来事にSFが紛れ込む。でも主人公はあくまで日常側の存在だったりする。
 この日常と非日常がどちらにも紛れ込んでいて、かつ文章全体ですっとぼけている辺りが巧の技ですよ。再確認しました。
 これはこれで好きなんだけど、ファンタジーのふりをしたSFの方も読みたいなぁと思います。初期の小林めぐみ作品大好きだったのでなつかしくって。
 
 それはそうと、8作の短編集なんだけど、うち6作書き下ろしってどうなってるんだろう。編集部はなんだ、あれか。使いつぶしか自転車創業かどっちなんだ。『食卓にビール』をから入る新規ファン対策か?
 でも小林めぐみファンってあの作風が好きなら結構待てると思うので、もう少し落ち着いた仕事でもいい気がします。
 いや、書き下ろしがたくさんで読めるってのは凄くお得感があって、いいんだけどさ。