『タマラセ 探偵はドリルで突つかれる』

『タマラセ 探偵はドリルで突つかれる』六塚光角川スニーカー文庫角川書店
  ISBN:4044707022
 
 タマラセ二冊目。楽しいですよ。
『タマラセ』は魂裸醒という能力者の話なんですが、前作で舞台となった平塚市を引き継ぎ、平塚市内で出現してきた魂裸醒の話。
 後天的に魂裸醒になった者はそのうち暴走してしまうっていう設定があり、主人公も例外でないという側面がこのシリーズの終わりを定めてて、だらだら続いてしまうという懸念なんかなく読めるのがいいですよね。
 
 でも、んなことはどーでもよかったりします。むしろそこいらの設定はくどい。
 なんといってもこの『タマラセ』の魅力はその言語センスにあるのです。文体の妙。はっきりいって読者を限ってしまっているのですが、そのおかげではまる人はとことんハマれる。この言語センスを平然と流してストーリーが進む様は『銃と魔法』の川崎康宏、『食前絶後!!』のろくごまるにを想わせる。
 六塚光は、こんな平成一桁台のコアな部分のライトノベル好きにはたまらないものがありますし、その上で細かい部分に最近のライトノベルっぽさを兼ねそろえていて、大化けしてくれるんじゃないかと期待大なのですよ、お客さん。
 いや、2作目ではそんなに化けなかったので不服とかそんなことは言ってません。今後、編集とか世間の目とか気にせずにべしばしと進んで欲しい作家です。