『GOSICKⅢ 青い薔薇の下で』
『GOSICKⅢ 青い薔薇の下で』桜庭一樹/富士見ミステリー文庫/富士見書房
ISBN:4829162732
前作の時に、これはミステリーじゃなくて冒険小説なんだ、と書いた。
まぁ今回もミステリじゃなかった。楽しかったけど。
なんていうか、このシリーズに限って言えば(むしろ桜庭一樹はこのシリーズしか読んでませんが)よくこんなにもまぁ、低年齢向けの話を富士見ミステリー文庫というフィールドに持ち出せるなぁ、という所があります。
富士見ミステリー文庫って、あれじゃないですか。幅広いようで狭いようで広いような、変なレーベルじゃないですか。読者層において言うのならば、低年齢層〜ラノベ読みやオタクという、ひどく偏った上で客層がまったく異なるくせに一体化してしまったような、変な読者層を抱え込んだレーベルじゃないですか。
この『GOSICK』シリーズは、その読者層にのみ特化したような小説だと思うわけですよ。
低年齢層向けの冒険小説とかいうのに加えてラノベ読みやオタクの層にも受け入れられるような、文体かつキャラクターを配置してるんですよね。んで、後者で加えた文体かつキャラクターが、冒険小説的な要素の中にうまく融合しているわけですよ。
はっきりと内容に触れるのは避けるけど、今回のだって結末なんて分かり切っている上で「読ませる」ためのサスペンス感を含めつつ、さりげなくキャラクターを掘り下げていて、もう。
ああ、もう。なんだよ、相変わらず巧いよなぁもう。とか身もだえするわけです。