ぶっちゃけ

 何もないらしい。
 いや、今日でまたひとつ研修箇所が終わったので、最後にまとめをしたのですよ。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様です」
「最後にまとめということなんですけれど」
「ええ」
「ぶっちゃけ特にないんですよね。というわけで」
「あ、はい。お疲れ様でした。ありがとうございました」
 
 以上。
 それは、黒雨がどう評価されてるって事なんだろう。後付けで褒められましたが、一番最初のこの本音の「何もない」が黒雨にのしかかる。
 カラッポ。カラッポ。カラッポ。
 そうか、黒雨の中に器がないとしても、黒雨の肉体の中に何もないってことなんだなぁ。何も、そう、何も、ないんだなぁ。器すら、ないんだから。