『推定少女』

推定少女桜庭一樹ファミ通文庫エンターブレイン
  ISBN:4757719957

 ああ、面白いね。『赤×ピンク』より無茶やってて面白かったのだけれど。いかんせん読む年齢を間違えた。黒雨の感性は、確かにこの作中の登場人物(中学生くらい)の気持ちのようなものを抱いたことはあるけれど、もう黒雨は中学生じゃない。大学どころか会社で働いてしまっているし。
 これは、本当に中学生前後あたりの人が読む純文学と言っていいものだと思う。SF要素っぽいものを入れているけれど、これはSFと言えない。モチーフに使っているだけなので、これは歴とした「中学生向け純文学」と言えるだろう。
 家出少女がなんのかんの葛藤する話でした。うん、嘘。いや、嘘は書いてないけれど、もの凄く色々なものを隠してる。まぁ少女は色々葛藤したり逃げたりなんだりで、そういう気持ちを懐かしむ自分に恐れおののいているのですよ。ええ。
 これは、もう本当に読む時期を間違えた。少なくとも、進路に悩んでいる時期に読めばよかった。それなら年齢を無視してもなんとか行けるし。
 まぁそんな作品でしたよ。端的に言えば、この小説は増幅器であって、読んだ人間が持っているなにがしかの感情を増幅させるものなんじゃないかっていう、ね。