試論:ライトノベルはレーベルでもイラストでもない。 本論

 前説はこちら
 
 あらすじ。
 
 ライトノベルとは現象のことを指す呼び名でしかない。ライトノベルの内実にあった新たな呼び名が生まれない限り、未来はないんじゃないか。
 っていうようなことをつらつらと訴えかけたいんですよ! 僕は! ごめん嘘!

 はい、というわけで。
 ちなみに、これを書こうとおもいついた時のメモをなくしたので、わりと話がまとめられないよ。適当だよ。というわけで呼び名について下記に。
 
 たとえば「ミステリ」とかいう呼び名の小説群を考える。
 この呼び名の周辺には、たとえば「推理小説」であったり「本格」「新本格」とか「ハードボイルド」であったり「海外ミステリ」「国内ミステリ」とか呼ばれたりするものもあれば「古典」とか言っちゃうものもあったり。
 
 それを「ライトノベル」で考えてみる。
 この呼び名に含まれる小説を区分するなら、「ファンタジー」であったり「ミステリ」であったり「SF」であったり「学園もの」であったり「ラブコメ」であったりと。
 
 たとえば、この差なんだ。
 ライトノベルと呼ばれる小説群は、「ライトノベル」という言説の中に、複数のジャンルが内包されている。そのくせ例示したミステリとの違いは、そのジャンルが要素としてしか用いられていないってところ。
 小分類としてのジャンル名ではなく、要素として複数のジャンルを縦断して「何か」を作り出す現象がライトノベルであるのだ。
 だからといって「ライトノベル」と呼ばれるものには、区分しようにも「ライトノベル」と呼ぶしかない、言語化できないけれど読む人にとってはそれとわかる「何か」が存在するんじゃないかと思う。というか、黒雨はそう願っている。
 ただ、現状ではライトノベルという呼称は、方向のみは指させるくせに、明確に場所を示すことができないんだ。
 ただ、この呼び名が、ある種の「ジャンル」として定着しつつある今、実態を明らかにするような呼び名がなければ、感覚だけ先行していってしまう。
 
 まずは、その呼び名が先に立つべきで、レーベルなんてものは、その後からついてくるんじゃねーのかな、と。
 最近、ライトノベルの新レーベルがそれぞれ出来ているっぽいけれど、それぞれの狙う独自性ってのが、ジャンル内での独自性っていう訳ではない気がするんだ。それぞれの思う新たなジャンルを定義しようと模索してねーか。
 それって、「ライトノベル」ってのが定まってないし、そもそも定まるようなたぐいのものなんかじゃねーってことじゃねーのって思う。
 前にも書いたように、ライトノベルってのはジャンルですらないんだ。いろいろなジャンルを飲み込む現象でしかない。
 たまたま、これまでの共通項が、イラストをつけるようなレーベルであったりしただけ。
 現在では、ライトノベルの一般化だったり「小説トリッパー」でポストライトノベルとか特集が組まれるみたいだけれど、未だ「ライトノベル」ってのはジャンル化されてないんだ。
 
 ライトノベルという言葉が空中分解する前に。
 ジャンルとしての呼び名を、この小説群をきちんと本質と同時に表すような呼び名を。
 それが、いわゆる「ライトノベル」が解決すべき早急な問題なんじゃないのかな。