『シスターコントラスト!』

『シスターコントラスト!』(ACACIASOFT)
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 なんだろう。このやるせなさ。
 というわけで、この『シスターコントラスト!』なんですが、ぶっちゃけSFなんですわ。
 SFて。
 もう一回言う。
 SFて。
 
 やるせないっていうのは、作中で攻略キャラごとに並行世界が作られることに言及しているのに、並行世界にかんして合理性が全くないというあたりが。
 このシナリオ内では「時間移動」「空間移動」「並行世界」など、SF的要素があるんですが、それらは離婚した父親の家に数年ぶりに行く主人公が対面するはずだった見知らぬ義妹たちが、実際に義妹だった、という設定にしたいために使っているんです。
 
 クリア後、少しでも考えてみると、この世界が成り立つためには、全員のシナリオが起こっていなければならない事になってしまうんですが、主人公視点ではそれはありえない事になっています。
 時系列とかなんか洗い出すと、この作品の中は矛盾だらけ。それも目に見える形で。しかもそれが「矛盾している」とシナリオ内で明言し「過去は変えられないけど未来は変えられる」という言葉に集約させつつ、実際に過去を変えてしまっているんです。
 ……なんだそりゃ。
 
 あー、つまりはね。これは『義妹たちと「ラブラブな生活」を送りたいっていう建て前』のためにSF的な要素を詰め込んだだけだから、SF部分は読んじゃダメなんだね。
 そんなら最初からそんなことやらんでええっつの。
 
 かもめシナリオとかで表れる義兄を想って行動してしまった事に対しての後悔とか、そういう心理的葛藤とかはわりと上手く書き込まれていると思います。そういう心理面を直球で勝負した方がよかった気がします。
 一人称的な独白を表現するために次々と「OD(オーバードライブ)モード」と称して、エロシーンが。視点の切り替えという面で上手く逃げ道を作っていると思うんですが、ひたすらに状況がどうかと思います。
 キャラクター全員が、きもちわるいくらいエロいよ。正直、気持ち悪いよ。
 
 あと、いくら義兄妹だからってと思ったシーン。
 渋滞した車の中でトイレに行きたくなった末の義妹を、主人公が下半身だけ脱がせて無理矢理ペットボトルに出させています。
 そんときに主人公が(兄妹だからな……)とか独白してるんです。
 この家族はキチガイだ。