『お願いお星さま』

『お願いお星さま』(PULLTOP
  ASIN:B000A8SYY6
 
 まず言おう。これ、やっぱし名作。うん。
 ネタばれ的に行くよ。
 
 相変わらずPULLTOP、前作と同じでアフターストーリーが全て。本編とかおいておいて、アフターストーリー。うん。予定調和。ああ、ああ。
 
 要は、物語上の平行世界派生を解消することに余念がないのです。アフターストーリーが唯一無二のトゥルーエンド。その構成は上手い。
 ただ、一つ惜しむらくは、言葉の力が弱いんです。あのね。前作の『とらかぷっ!』でいえば「祭りがはじまるよっ!」のセリフが、上手く作中を循環しているの。
 その『とらかぷっ!』と話の構成が似ている今作『お願いお星さま』は、本編の中身とかは前作と違ってて楽しめましたが、これといった「決めゼリフ」がないんです。それが惜しい。それさえあれば、黒雨の中で不朽の名作になったのですけど。
 
 本編も上手いのですよ。基本的には「願い星」がやってきて、それが出すえろっちい願いを叶えていくだけなのですが。それが徐々にヒートアップしていくという。そんなギャグなのです。
 それがね。幼なじみ二人と主人公の「三人」という関係がすげぇ微妙になるのね。うん。三角関係とでも言うんですか。んで、そのオチがどっちを選んでも一緒なんですよ。過程が異なるだけで。これってエロゲーだからできる解決だと思う。んで、それで突き進めることが強い。
 このギャグのなかで、人間関係をシリアスに突き詰められたこの作品は強い。シリアスの中にギャグを入れるんじゃない。逆なんです。ギャグの中にシリアスが入っている。うん。拍手。みんな拍手。ほら。
 
 かっけー。このシナリオライターかっけー。こういう人に黒雨がなりたい。