目線が目線が目線が目線が
目を合わせないで! 黒雨の目を見ないで!
今はダメ! 今はダメなんだから!
だって。
今の黒雨の目には、まつげがない。
まつげを失ってから一週間経ちました。黒雨です。
まつげって人体の中でも必要な毛のひとつなんですね。ええ。失って初めてわかる大切さ。もっとまつげを大切にしてあげればよかった。可愛がってあげればよかった。散歩に連れていってあげればよかった。
次に生えてくるまつげは、昔のまつげじゃない。形は同じでも、中身が違うんだ。ああ、さようなら睫毛。マツゲ。
え? まつげを失う経緯がわからないって?
そんな。馬鹿な。ほら、みんな睫毛ともっとフレンドリーに接していれば分かるじゃないっすか。人間って、友好的にコミュニケーションをはかる生き物なんです。まつげと。
黒雨もまつげとフレンドリーに接している一人です故、教育実習中にまつげとスキンシップを少々していたんですよ。
黒雨「ん? ここだろ、ここが弱いんだろ?」
睫毛「あ、ちょっと、そんな根本まで」
黒雨「へっへっへ」
何で陵辱ものの安っぽいAV風の脚本かはスルーしておくとして、まつげを根本から舐めあげるように、つつ、となぞっていたんですよ。
そこでアクシデンタブル黒雨。
黒雨「ほらほらほら、いじられているの見えるか」
睫毛「見えない! 見たくない!」(注:睫毛なので位置的に見えません)
黒雨「濡れてきてるじゃないか」(注:涙が出てるだけです)
睫毛「い、いや! もう限界!」
ぶちっ
黒雨の手に、ちょっと信じられない量のまつげ。
無言で教育実習生控え室を出て、トイレで確認する。
ボーリングで例えるなら「⑥」というスコア表示になるような、完全なスプリット。
鏡の前で悩むこと数瞬。
何事も中途半端はよくないですよね。
というわけで、黒雨さんはボーリングのスコアで例えるなら、スペアを取るよに、左目のまつげを全て取り去ります。
よーし。完璧。
と思って鏡を見たら、やはり線対称になっていない顔が気に掛かるわけです。右目にはくっきりと睫毛。左目は無毛。
左目だけ大人になりきれていない毛の生え方。ものすごく気になります。
何事も、中途半端はよくないんですってば。
というわけで、黒雨さんはボーリングのスコアで例えるなら、スペアの後のストライク、のように右目も抜毛。
うわーい。つるつるだー。
というわけで、現在の妙にはれぼったい目が完成するのです。人類の80%は経験あるだろう睫毛なしという日常の完成です。
睫毛の大切さは失ってから気付くのです。
目やにが大量に出る、目にゴミが入りやすい、他人のあざけるような視線が怖い、道を歩いていてふと笑い出したくなる、朝勃ちをしているかどうか不安になる、などの様々な症状は全て大切な相棒である睫毛を失ったからに違いないのです。
みなさん、もっと睫毛を大切にしましょう。