はいちゃ

 怖いよね。こわー。
 というわけで、歯医者行ってきました。
 思い起こせば約2ヶ月前。歯の痛みを覚えながらも放置。
「あれ、歯が痛いんじゃね?」
「それって、知覚過敏じゃね?」
「あ、そっかー」
「そうだねー」
 という自己暗示によって平静を保つどころか、痛みすら麻痺するほどマインドコントロールに成功してしまい、今の今まで放っておいたんです。気持ちの問題だから。マインド!
 ほら、知覚過敏用歯磨き粉とか買ったし。
 
 まぁ、そろそろマインドだけじゃどうにもならなくなってきたので、行ってみたんですよ。がりがり削られて詰め物されて終わりかな、と思ってたんです。
 学校近くの歯医者に行ってみました。なんかめちゃめちゃクールにどうでもよさそうに診療を進めるおっさんの医者が居ました。というわけで、あっさり治療が終わるかな、って思って診察台へ座ります。
医者「はい、じゃ口開けてー」
医者「うわ。あらららら」
 
 あらららら、て。
 
 あらららら、て。
 
 それ以上何も言わなくなった医者が、じゃ、レントゲンね、と言い残し、黒雨はレントゲン写真を撮られました。被爆しました。
医者「あー、なんか神経まで達してるかどうか微妙なところなんで、まず削ってみますね。どっちにせよ麻酔してから」
 医者が微妙とか言うな。頼むから。
 んで、治療開始。
 がりがりがりがりがりがりがりがりがりがり。
 んで、黒雨には何も言わず、看護婦と会話続けてるんです、医者が。治療内容について。
医者「あー、この歯の部分が歯垢溜まりやすくて、そっからこの歯に来たんだね、みてごらん」
看護婦「あら、ほんと」
 和むな、人の歯で。治療中に。
 というか、黒雨に言ってくださいませんか。お願いですから。詳しい内容を。
 
医者「(なんかの器具らしき名称)の中くらいの大きさ取って」
看護婦「中くらいって、これですか」
医者「……まぁ、これでいいや」
 患者の頭をそばにしてそんなこと言うなよ。
 
看護婦「はい、じゃあこれから薬詰めますからね」
 お、ようやく黒雨にアナウンスです。インフォームドコンセントって奴ですよ。
医者「(何かの薬品名らしき名称)、取って」
看護婦「はい」
 何かが奥歯に載せられていく感覚です。麻酔効いてるのでよくわかりません。
医者「……うーん」
看護婦「足りますか?」
医者「もう少し取ってきて」
 おい、医者。看護婦に指示されてないですか? どうでもいいや、と思って治療しないでくださいよ? ねぇったら?
 
 ようやく、治療が終わって、医者が一言。
「神経に達してましたね」
 エー。
 その後、受付まで戻されて、そこの事務兼看護婦らしき人から、
「今回は、神経まで達していたので、神経を抜かずに虫歯に冒されている部分を削り取るという方式で治療しました。麻酔取れたら痛みとかが来ると思うので、痛み止めを処方しますね」
 ん? インフォームドコンセント? っていうか事後報告? 医者じゃなくて?
 なんか違和感を感じながら、黒雨は次の予約をして帰ってきました。
 
 うーん。いかんともしがたい。