『シャンク!!ザ・レイトストーリーvol.2』

『シャンク!!ザ・レイトストーリーvol.2』秋田禎信角川スニーカー文庫角川書店
  ISBN:4044299021
 
 というわけで、久々に読んだ本が秋田禎信です。
 何故って、黒雨さんってば秋田信者じゃないですか。と書いてもシラネーヨ的空気が漂うかと思われますが、そんなところです。
 
 というわけで、短編集なんだけど、なんだかつまんなく感じた。って書く時点で信者失格なんだけど。
 なんというか、何がダメかというと秋田禎信の持つシリアス描写とギャグ描写というのは決定的に食い合わないという欠点があるので、それが一緒くたになったこのシリーズはどうにも微妙なのです。中途半端感が。
 秋田禎信は元々ギャグ描写においてはものすごくストイックな方で、それが「魔術師オーフェンはぐれ旅」シリーズの前半で現れている。でも、それが崩れたのが「無謀編」の連載がスタートしばらくの事。その時期にはそれを反映するかのように本編でのギャグ描写が減っていきシリアス一辺倒になったと記憶しています。
 記憶なので定かじゃないけど。
 そのギャグ描写とシリアス描写の乖離が原因で、秋田禎信の作風はどこかが決定的に崩れてしまっていて、この『シャンク!!ザ・レイトストーリー』シリーズにも後を引いている。実に中途半端な空気は、ギャグとシリアスが水と油のように混ざりきらないまま同じ容器に入れられている。
 秋田禎信が今後書き続けるには、水と油が混ざるための石けん水を探すことだと思います。それが見つかるのってしばらく先になるだろうけど、飽きもせずに黒雨は秋田禎信を追っかけ続けますので。