『まにあってます!(1)』

『まにあってます!(1)』森永あい/ASUKA COMICS/角川書店
  ISBN:4049249723
 
 というわけで、森永あいです。森永あいはいいよね。王道がどうも王道ではなく。
 巻末に触れていたのですが、少女漫画の王道として書かれているようです。

①薄幸なヒロイン
②逆ハーレム
③同居もの
④(ダメおし)可愛いマスコット
p.175「あとがき」より

 これらを全て取りそろえておきながら、なぜここまでに王道的でない漫画が書けるのか。森永あいの才能は枠に囚われない。囚われることが不可能です。
 森永あいは、『僕と彼女の×××』でもそうなんだが、要素というかキャラクター相関図だけとると、とても王道的な話です。『僕と彼女の×××』では、男と女が中身だけ入れ替わるストーリーですし、この『まにあってます!』においても上述の四つの要素なら入っています。
 それでも類型化不可能なほどに枠を飛ぶのは、登場するキャラクターかストーリー展開のどちらかがぶっ飛ぶからなのです。
 今回のはキャラクターがぶっ飛んでいるタイプです。薄幸なヒロインとあるけれど、薄幸なことには間違いないけれどもキャラクターが、なんていうかなぁ……説明するのが不可能なほどキチガイなせいで、ストーリーがヒロインに引っ張られるように狂気の様相を示すのです。
 それがいい。それが森永あいの面白いところなのですよ。オモシレー。なんでこんなキャラを平然と生み出せるのかがわからねー。
 というわけで、楽しみました。ごめんなさい。