『星屑エンプレス ぼくがペットになった理由』

星屑エンプレス ぼくがペットになった理由』小林めぐみ富士見ミステリー文庫富士見書房
  ISBN:4829163119
 
 新刊が出るとしって、次はシリアスかと思っていたが、タイトルを知った瞬間にそれはないな、と思っていた小林めぐみの新刊。
 えーっと。最近、小林めぐみの芸風は、ギャグとシリアスを合わせた「コミカル」に固定されたんですかね。これはこれでいいんですが、前の突き抜けた感もちょっと懐かしい。いや、案外前からこんな芸風だったような気もする。
 でも、まぁコミカルSFミステリでした。
 え、何そのジャンル。
 
 というか、小林めぐみの持ち味って、SFを他ジャンルに偽装する手腕だと思うんですよ。富士見ファンタジア文庫初期の頃、担当編集がSF嫌いだからってファンタジーに偽装したSFを書いていた小林めぐみの手腕はもの凄いと思うのですよ。だって、本当にファンタジーっぽいんだから。
 それが、堂々とSF書けるようになって、んで、今度はミステリー文庫。どう偽装するかと思ったら、『食卓にビールを』で完全なるSFもどきを書いてたので、そういった意味でちょっと笑えたのですが。
 それで、今回のこれ。
 完全にライトノベル的なSF。それにミステリーっぽさが乗っかってるのですが、小林めぐみはそういう所を意識しないで、もっとのびのびはっちゃけた方が楽しくないですかね? 正直に言えば、ミステリ風な事件を追う形でなく、完全にSFに特化した中で小林めぐみ的センスを、ずばーっとどしーっとぐわんぐわん利かせてくれたら、たまんないものになると思うんですよ。純粋にSFと言いづらいけれど、SFとしかいいようのない、とても不思議な物が出来ると思うんですよ。そういうの読みたい。すげー個人的な意見だけれど。
 このシリーズ、次が出るのでしたら、是非ミステリ要素とかとって欲しいのですが。なんか混ざってないので。
 祈るのはこのまま『サニーサイドアップガール*1』のように消えてしまわないでくれって事です。