『パラケルススの娘(2) 地下迷宮の王女』

パラケルススの娘(2) 地下迷宮の王女』五代ゆうMF文庫Jメディアファクトリー
  ISBN:4840114269
 マジでか。
 五代ゆうといえば、なんつーか、これライトノベルでやらなくても、と言いたくなる位の緻密なハイファンタジーをやらかすから遅筆という印象があるのですが。
 マジでか。
 というわけで、すぐ出た続刊。しかもハイファンタジーな要素を出しつつ「ライトノベル」してました。
 マジでか。
 そこからまず驚くんですが、このシリーズってライトノベルだよ。五代ゆうなのに。ライトノベルですよ。しかもキャラものですよ。ツンデレいますよ。ハーレム状態ですよ。
 マジでか。
 いや、悪いと言ってるんではなくてね。
 ものすっげぇ作風が変わったので驚いて口が塞がんねーだけだから。
 だって帯に「ばか! 鈍感! もう知りません! これだから男なんて大嫌い!」ってさ。今まで五代ゆうでは考えられませんよ。
 んで、五代ゆうは普通に筆力あるから、ハイファンタジー的な要素を上手く解体してちりばめて、エンターテイメントとして成立させた状態にして、その上ラブコメ要素をドバドバ振りかけてるの。その味がなかなか強くて美味しいんだよ。
 こういう人が書くのも案外ありですがね。何も五代ゆうが書かなくてもと思った。しかし、(いわゆる読者のツボを抑えなくても読ませる文章を書けるような)筆力のある人がこういうの書くと面白いんですよね。なかなか書いてくれないですしね。だって読者のツボを抑えずとも書けるんだから。
 でも、そこを書いてみたってのは何だろう。
 五代ゆうは何を乗り越えたんだろう。あとがきのテンションの高さが気になります。