ぼくはサントラが聴けない。
音楽の話。
世の中には、サントラを「サントラとして」聴ける人と聴けない人がいる。
サントラとして聴く、つまり元になった作品の一部を切り取ったものだという前提で聴くということができないのだ。
当然、サントラの楽曲でも、曲として完成されているものもあります。音だけ、CDだけで完成している曲はありますが、それを楽しむのはサウンドトラックとしての楽しみ方ではないと思うのです。
サントラとしての楽しみ方というのは、やはり曲が元になった映画なりドラマなりアニメなりの構成要素の1つであるという前提条件があります。そのもとで、それがBGMとして流れたシーンなり作品世界の雰囲気なりといったイメージとの結びつきが生まれた状態で楽しむ方法だと思うのです。
そういった意味で、黒雨はサントラが聴けない。シーンでの音楽を聴くというのであれば、黒雨はそのシーン、場面そのものを見ます。
黒雨の頭の中では、サントラを聴くときは、頭で作品のイメージが直結して浮かばないのです。かなり意図的に、これはこのシーンで使われた音楽だ、とは認識できても、それを音楽にのせて感じることができない。
そのせいで、作品ありきで作られたタイプのサントラは、黒雨はいっさい受け付けることができないのです。特に、作品と音楽で、主従の関係になっているようなタイプのサントラは、完全に無理です。音楽を聴いても作品が出てこないのだから。
そういった意味では、作品と音楽がケンカをしつつもバランスのとれた作品なんかは、音楽のみを切り取ったとしても、音楽だけで成り立つから十分に楽しめます。
……ほら、「もういいじゃない」っていう空気になったでしょ?(主にここが言いたかったことです)