『食卓にビールを』

食卓にビールを小林めぐみ富士見ミステリー文庫富士見書房
  ISBN:4829162678
 
 正直に、おもしろかったですよ。
 ただ納得がいかないのが、富士見ミステリー文庫から出たという点。別に富士見ミステリー文庫じゃなくていいじゃない。なんでよ。
 
 という今回の『食卓にビールを』なんですが、SFです。というか小林めぐみと言えばSF作家です。小林めぐみが得意とするのは、SF的なものを何かの中に混ぜることです。富士見ファンタジアの初期の頃、編集がSF嫌いだからという理由でファンタジーに見せかけたSFを書いていた(とあとがきに書いてあった)小林めぐみの新作。
 真っ向からSFです。かと言って真っ向からSFでもないという妙な一冊。
 主人公が、女子高生16歳人妻。かと言ってそれを全面に出しているのはイラストくらいで、小説の中では決してそんなこともなく、普通に日常らしきものを過ごしていく。そのなかでSFっぽい出来事に出くわすと。んで、巻き込まれるかというとそうでもないけどドタバタとなっていくこの展開の妙。
 なんというか小林めぐみがコミカルタッチを書くときの「らしさ」が全開です。あんなのが好きなら必読でしょう。
 個人的にはひさびさに読んで楽しかったけど、もうちょっと満足したいので続きを求めるような感覚。そういえば短編はひさびさだったっけ。かといってこれの長編は読みたくないなぁ。短編でぽんぽんと出していって欲しい。
 
 そういえば、これが出ることを知ったとき、小林めぐみの公式サイトにてi-mode版で更新していた日記の「食卓にビールを」を思い浮かべ、あれが出るのかと戦々恐々としたことを正直に告白しておきます。
 作中に主人公が食事のメニューを更新していたウェブサイトというのがありますが、それはリアルにあったんですよ。しかも「食卓にビールを」という題名で。

『我輩はカモである』

『我輩はカモである』ドナルド・E・ウェストレイク/池央耿:訳/ハヤカワミステリアス・プレス/早川書房
  ISBN:4151000860
 
 小説は面白かったんですが、これを読むことになった経緯は面白くないです。
 前に骨折記念麻雀をやったのですが、その時に後輩からプレゼントされました。『我輩はカモである』を。
 何かな? それはこれから麻雀でカモにしてやるという意味だろ? ふざけるなよ?
 
 その日は負けに負けました。
 
 ええと、内容ね。カモにされやすい主人公が、ドタバタに巻き込まれていくと。面識のない叔父マットから三十万ドル(税込五十万ドル)の遺産を相続して、ドタバタと軽快なテンポで物語は進みます。
 ニューヨーク市内をどたばたと動き回る主人公が楽しいんです。コミカルに進んでいくこの展開に引き込まれそうになるんですがね。「が」ですよ。
 麻雀打つときにぴったりだとプレゼントされたことを思い返し、黒雨の人生はこんな感じか、ああ、そんな気もしてきた、となんかちょっと鬱に入って嫌な感じ。
 
 そうですよ。黒雨はカモなんです。みんなたかればいいと思います。