『涼宮ハルヒの溜息』

涼宮ハルヒの溜息谷川流角川スニーカー文庫角川書店
  ISBN:4044292027
 
 あー、これね。やたらに人気が出ているシリーズの二作目。
 シリーズの二作目としては良作だったのかもしれないけれど、ここから読み出したら壊滅的にダメ。
 話としては完全に前作から独立しているんだけれども、キャラ描写が前作での行動を元に書かれているせいで、前作とは違う行動をとって意外性を出そうとしているのか、前作通りのキャラなのかがいまいちつかみづらい。
 話としては面白そう。前作が。
 なんか、今作の合間合間に、前作でのエピソードが回想のように出てくるんですが、それが何故かやたらと面白そうに思えるんですよ。
 前作の世界観から派生して出てきた話がこれだとするなら、前作を読まない限り、シリーズ全体を語ることが不可能になるくらい、世界観が前作に頼っています。というわけで、前作を増幅させたのか減速させたのかという観点は、前作を読まないと不可能。そういった意味で、評価は保留せざるを得ない。
 まぁ作者自体が、この話の続きを書くとは思わなかったとの発言のように、単体での話を急増させられた感があるので、そういったしかたなさは、ライトノベルという性質上一歩譲る。
 これが前作を前提とした上で楽しめるものだとするなら、ライトノベルとしては成功だと思うのだ。小説としては失敗していても。
 そう、現時点で断言できるのは、今作は、少なくとも今作は単体の小説として完全に失敗している。シリーズ全体で見た上で今作のエピソードが好きという見方もあるだろうが、シリーズ全体として見るのは別の話だ。今作を限定とした話の展開が、単体で成り立っているかと言ったら、完全に否。そう言う意味で小説としては失敗。
 ただライトノベルとしてシリーズもののおもしろさを増幅させることに成功しているかどうかが気になってしょうがない。
 というわけで、読み終わった今日、早速前作と最新作を買ってきてしまいましたよ。