『月は東に日は西に』(オーガスト)
『月は東に日は西に』(オーガスト)
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ええっとですね。この作品なんですが。
新規開発する意味はあったのでしょうか?
はっきりいって、ゲームとしてやる意味がまったくないです。キャラ萌えとかいってもさ、新しい要素とか、『キャラクター小説の作り方』の方法論で攻めたとしても、新しいパターンの組み合わせとかあるでしょ。そういうのが全くないのがこの作品。
はっきり言ってやる意味はない。
それが逆に惜しい。
なんていうかですね、シナリオとかCGとかシステムとか音楽とか、わりと丁寧に作り込んでいるんですよ。シナリオに関して言えば、どのキャラに対しても後一歩踏み込んだ考察をするのならば、ゲームではなくて小説になってしまうな、という微妙なバランスで線引きして、ゲームがゲームである意味を保ち続けている。そのバランス感覚を保つ力量は、はっきり言って完璧に見所だ。だからこのゲーム、フルコンプリートしたんだけど。
でもね。
シナリオの構成とか、全体を通してのシナリオの流れとか。
本気で意味がない。今までの踏襲でしかない。踏襲して発展があるかと思いきや、それがまったくない。
今まで世にあるゲームで、アイデアを出すだけでコンセプトに頼り切って潰れてしまったゲームの断片を寄せ集めて、きっちり枠にはめたものが、この「月は東に日は西に」という作品だ、と断言して構わないだろう。
でもね、きれいに形作っても意味がない。例えば「秋桜の空に」なんていう作品は、めちゃくちゃツッコミどころというか評価の下がるポイントがいくつもあるけれども、それを補うくらいのインパクトをもった部分がある。まぁキャラ名忘れたけど、あの姉キャラ。姉に甘えるというそれだけで作品一本突っ走るような筋を通してしまったMarronは異常だけれど、オーガストのように形に納めきるのもまずい。
だって、規定していた形の一歩小さいところでまとまっちゃってるんだもん。
それでも、エロゲー初プレイの人には向いているんじゃないかと。こんな世界観なんだというものをね。
いや、ほら。大抵のエロゲって、学園モノだったらそこに何か訳のわからない要素を組み込むじゃない。
この「月は東に日は西に」、通称「はにはに」では、未来人というか時空転移装置というか、100年後の世界というか、そういったものが入ってきます。要素として。
そういったのってこのゲーム業界、ある意味基本だから、エロゲというものに慣れるためにオススメなんじゃないの。投げやりぎみに言うけどさ。