『桐原家の人々4 特殊恋愛論理』
『桐原家の人々4 特殊恋愛論理』茅田砂胡/C*NOVELS/中央公論新社
ISBN:4125007187
このシリーズは、あらすじを書くだけで、前の巻のネタバレにそくつながるくらい展開が早いっすわ。
んで、今回はあとがきにも番外編と書いてあったように、番外編っぽい感じです。つーか作中のどの部分に触れても、前巻のネタバレ。何を語れば良いんでしょう。ネタバレで突き進めばいいんですか。
まぁ概念だけさっとさらうと、設定の一部だけ使っても十分面白い小説になるという要素があふれているのですが、それだけつめこめば当然取りこぼしてしまっている設定が出てきます。それを引っ張ってきて小説を一本作ったって感じです。
まぁこの小説は、前三作を読んでいれば、話の流れは全て読者側にばれています。読者が大まかな展開を知っているという前提で、新たな要素を加えつつこれだけ読んでて新鮮味のある小説っていうのは、エンターテイメント小説ならでは。
っていうか最近のジュブナイル・ライトノベルは、こういった姿勢を見習うべき。大まかな筋書きなんかバレてもいいんですよ。ライトノベルはミステリというジャンルも含んでいることもあるけれど、ミステリじゃないジャンルでも構造的にミステリの構成を使わないとおもしろさを表現できないという純粋な筆力不足が目立つ。茅田砂胡は、スニーカー文庫でも出してるけど、茅田砂胡にしてはちょっとどうかと思う作品ですが、スニーカー文庫というレーベルからみたら、他のどーでもいい作品たちから遙かに群を抜いている。そんな状態は打破して欲しい。いや、マジで。
というわけで、最近のラノベしか読んでない奴は、こういうの読めよ、本当に。これを手放した角川ルビー文庫は、本気でもったいないと思うんですが。