『Honey(1)〜(7)』

『Honey(1)〜(7)』橘裕花とゆめコミックス白泉社
  ISBN:44592174925(2巻)

 1.ISBN:4592174917 3.ISBN:4592174933
 4.ISBN:4592174941 5.ISBN:459217495X
 6.ISBN:4592174984 7.ISBN:4592174992

 
 これは、ものすごく男向けな少女マンガだ。少女マンガが男性向け要素を含むようになり「少女漫画」という聖域が破壊されてからの流れは、今やここにたどりつくのか。
 
 どこが男性向けかというと、ヒロインが徹底的に記号化を重ねられたキャラクターであり、大塚英志が言うところのキャラクターの作りかたを、ひたすら重ねている。
 キャラクターを説明しようとしたら、文章にならないのだ。全て単語でしか語れない。キャラクターのカテゴリ分け以上のものが存在し得ない。
 ストーリーは全て設定からスタートして、設定の解放に終わる。終着点が見えていて、そこに行き着くまでの問題点は、全て設定の中に含まれている。物語として捕らえた時、読者に新鮮味を持たせてくれるのは、新たな設定の要素が作中に表れたときくらいで、その他の展開は、全てが予定調和のように進む。
 
 その展開は少女マンガというカテゴリに内包されるものである。ただ、女のキャラクターに付与された属性が、男に対して限りなくあざといものになっている。主人公は男にモテてしまい、男性に対して多少の恐怖を抱いているという設定上、主人公は男に好かれるための記号があざとく付与されている。
 男なら全てそれに弱いかというとそういうわけでもないだろう。むしろ多いというわけではない。だが、このキャラクターに入れ込むことが出来るのであれば、このマンガはツボにはまりえる、そんな作品だ。