『緋色の囁き』

『緋色の囁き』綾辻行人講談社文庫/講談社
  ISBN:4061859994
 
 綾辻と言えば、館の新刊が出ますよね。っていう前振りをするくらいなら、館シリーズを読み返せっていう話ですが、ここは囁きシリーズです。文句ありますかそうですか。
 いや、おもしろいんだけど。おもしろいんだけど。引っ掛かるなぁ。
 解説でなんだらかんだら書いていたけど、別に心理描写が上手いってわけじゃないと思ったのが原因だろうか。
 起こった事実と行動だけで内面が示せるような構成をしているから、面白く読めて心理状態も読みとれる。その事実の列挙があるから、描写がよかったように思える。一瞬そう思わせる。
 でも黒雨は心理描写に不満を持ちました。頑張ろうとして冗長になってしまうなら逆に地の文に心理描写いらないだろ。事実の語り口をもう少し変えてもいいんじゃないかね。
 ほら、あれ。登場人物のこれまでのいきさつとか行動とか、描写っていうよりも「あらすじ」というか設定説明のようにしか出されてないけど充分だったように、他の描写も何とかなったらいいなぁと思ってたんですが。