『本格推理委員会』

『本格推理委員会』日向まさみち/産業編集センター
  ISBN:4916199626
 
 気付くべきだったんだよ。滝本竜彦が「居心地がいい」ってどういうことか。
 
 つーわけで、受け入れられかったなぁ。本当にどうしようかと。
 
 なんていうか、設定が全てライトノベルかぶれの中学生が書いた小説をネットにアップしているレベルの小説です。書き込みが足らない。内容が浅薄。あとがきでキャラクターにこだわりを持つって書いてるけど、キャラクターって記号論ことでしかやっぱないんですか。かわいい、とかも記号ですか。動きとか表情とかまったく浮かび上がってこない「かわいい」は何がかわいいのかわからないんですが、それがこだわりなんでしょうか。
 
 なんか、ヴィジュアルノベルとかの“立ち絵”が一枚あるだけの人物描写って印象しかないんですが。パーツを組み合わせただけでこだわりを持てるとするのなら、その記号化をいっそ徹底してやってくれればよかったと思うんですが、ひょっとして作者、何にも考えてないんじゃないですか。
 
 そもそも、応募すべき賞間違えてませんか。
 かわいい女の子がいて、ミステリもどきのこと(あとがきでは、本格やりたいとか「ライトノベルミステリ」やりたいとか書いているけど、黒雨はこれをどうしても「ミステリもどき」としか呼べない)やりたいんだったら、富士見ミステリー文庫の新人賞に応募すべきじゃないですか。あのレーベル、ミステリじゃなくてもいいんで、ぜんぜん大丈夫ですよ。
 富士見ミステリー文庫だったら、多分「あーあ」の一言で納得した気がする。それも審査員特別賞とかとった作品だとしたうえでですけれど。
 それかわりとどうでもいいエロゲーソフトハウスあたりのシナリオだったら「あーあ」の一言で納得した気もする。逆にそっちだったら、評価高かったかもしれない。
 
 あ、それでも一個すごい点がありました。
 この小説の評価すべき点は表紙と裏表紙。これは、わりと勇気がある行為だと思います。
 
 というわけで、読み終わったから、夕焼に貸すので。貸すから。っていうか読め。読むなんて口走ったのを確かに聞いたから読め。