『もえるるぶ東京案内』

もえるるぶ東京案内』/JTBパブリッシング
  ISBN:4533058655
 
 所用で新宿に行ってたんですが、ついでに紀伊國屋書店Forestに立ち寄り苛立ち紛れに本を買い漁ったうちの一冊です。
 やっちゃったね、JTB
 まず表紙。『もえるるぶ東京案内最新版!』となってるんですが、その上の方に小さく英語で『TOKYO CITY GUIDE FOR NEW TYPE』と書いてある辺り、芸が細かい。裏表紙で『社内で白い目で見られても知らないんヌ!』とか書いてあるんだけど、大丈夫か。
 中身は本気でオタク向けのスポットを紹介し尽くしてます。その手腕はさすがJTB。そして何より侮れないのがアクセス案内で秋葉原を中心とした書き方。いざというときの路線早見表で、基本的に全国各地の窓口になる東京の駅と国際展示場駅秋葉原しか見ていない。完璧に読者ニーズに合わせた路線案内。
 
 なんというか、るるぶを制作する視点をオタクのために注いでいる無駄に良い出来。
 
 そして、帯さえ取れば精神的に持ち運びやすくなり、また分量としても薄く押さえられているため持ち運びに特化されている。実用書なのだ。期間限定の実用書なのだ。これは。こんななりはしているけれど「るるぶ」であることは間違いない。
 そこが間違いないのに、こういった本になっている辺りが凄い。ネタのみとして捕らえ、ネタのみのために企画するような会社ではこれは不可能だっただろう。これは旅行雑誌を手がける手腕があるからこそ可能だった暴走だ。ネタだけでない内容作りがされている。「もえるるぶ」という企画に対して「るるぶ」の名に恥じないよう内容面はコンパクトにまとまった実に「るるぶ」な一冊であるんだ。
 
もえるるぶ」だけど、「るるぶ」なんだよ。
 
 そんなわけで、本気でお遊びで作った一冊だと思っていた黒雨は反省しました。内容に「るるぶ」らしく力入れてるだなんて思わないでしょ、これ。普通。びっくりしたよ。だってみさくらなんこつしか見えてなかったもん。