『私の嫌いな10の言葉』

『私の嫌いな10の言葉』中島義道新潮文庫/新潮社
  ISBN:4101467226
 
 ああ、楽しかった。
 この本がどういう本かは後書きに書いている通り。

(自分の不寛容さが気に入らず社会的に未成熟な人間に転落していると感じる、と述べた後に」)
 最近この転落は加速度を増し、あまりにも苦しいので、とくに私の「嫌いな言葉」を一〇ほど選び、なぜこれほどまでに嫌いなのかをあらためて探求してみることにしました。
(あとがき p.244より)

 これ以上でもこれ以下でもない本。
 その嫌いな言葉10個がまた楽しい。

①相手の気持ちを考えろよ!
②ひとりで生きてるんじゃないからな!
③おまえのためを思って言ってるんだぞ!
④もっと素直になれよ!
⑤一度頭を下げれば済むことじゃないか!
⑥謝れよ!
⑦弁解するな!
⑧胸に手をあててよく考えてみろ!
⑨みんなが厭な気分になるじゃないか!
⑩自分の好きなことがかならず何かあるはずだ!

 はっはっは。
 んでこういう言葉を発する常識的もしくは社会的な人間が嫌いだみたいな感じでつらつら書いています。ああ、楽しい楽しい。
 
 楽しいのですけれど、この本を何かの参考にすることはまったくないのですよ。
 黒雨は著者である中島義道のように強く生きれないので、上にあるような10の言葉を思わず使ってしまうような人間としてこそこそ生きております。
 でもこういう本を読んで楽しいと思える自分だけは大切にするという中途半端なエゴイストとして生きていこうと思います。まる。