『純粋!デート倶楽部 完全版(上)(下)』
『純粋!デート倶楽部 完全版(上)(下)』石田敦子/BEAM COMICS/エンターブレイン
ああああ。
なんかこういう雰囲気の作品は好きだけれど、とても痛いなぁ。
なんていうかね。大概のカップルがなんだかんだ言って別れてるあたり面白いんだけれど。
とりあえず雰囲気作り。そこに尽きる。
人のもどかしい感情表現を表すための機構として「デート倶楽部」なる商売があり、そこにいる人々を掘り下げることで、機構としての「デート倶楽部」と個人としての感情とのぐにゃぐにゃが、凄くいびつに描かれていて楽しいですよ。
ストレートな表現じゃないんだよな。ストレートっぽく見えて、これ案外遠回りなんだよな。ストレートに読者に届けるんじゃなく、シチュエーションを幾度も用意して、どれかに引っかかった読者に共感させる形なんだよな。
一旦共感したシチュエーションがあれば、読者がその世界観の一員として、他のキャラクターを客観視するという形式に引きずり込まれていく。入口は個々人によって違うけれど、引っかかりを覚えたのなら間違いなく人は引きずりこまれる仕様になっている。
作品世界内での客観視をするという形式にまで引きずり込むこの作品はすごく遠回り。遠回りなくせに、一旦引きずり込まれた中での描かれ方は凄くストレート。
おいおい、相当歪んでますよ。それが楽しくてしょうがないじゃないか。
というわけで、共感を求められる点で、この作品はとても痛かったです。別に黒雨は共感したわけではないけれどね。
ほら、だって。そんな。デートとか。したことないし。