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というわけで、三連休の最終日。
後輩と会ってぐうたら話をしたりしてのんべんだらりと過ごしたりした訳です。
外出するとむっちゃ外が暑い。暑くてたまんなくって、明日からの暑さ対策で何が出来るかしばし考えるわけです。
そう、毛を抜こう。
ふだんから毛が多い気味の顔からして暑さの原因というわけで、以前から気になっていた太眉へのメスが入るわけです。
ぶちぶち抜いて形を整えていき、わりと満足がいく程度にさっぱりとしたところで――悲劇。
じょきん。
取り戻せない何か。
まず時間は取り戻せない。そして切ってしまった眉も取り戻せない。眉を切ろうとした意志すら、もう取り戻せないものになってしまった。
後悔してもしきれはしない。もはや手遅れでしかないのだ。手遅れと呼ぶしかない状態なのだ。すでに手遅れになってしまった以上、何も手だてはない。手遅れは手遅れとしか呼びようのないものだから。取り戻せないからこその後悔をしているのだから。
深く切りすぎた結果、左眉の眉間に近い部分がまるで無精ひげのごとく有様になっており、他の眉との濃淡がはっきりしすぎていて非常にみっともない。
可能な限りのリカバーとは何か、瞬時に考察した結果「無精眉」の部分を抜き、それを左右対称にすることによって誤魔化すという手段を考えた。
その時は、それでリカバーになると信じていたんだ。
抜くんじゃなくて、左右対称になるように切るだけでよかったのに。
そう後悔した時点で、さらに手遅れなことになっていた。
左眉と右眉がだいぶ乖離し、顔全体がとても左右に間延びしている。とてものっぺり感ただよう顔立ちに。さらに、今日にいたるまでの強い日差しを浴びた顔面の皮膚と、眉毛の下であまり日差しを浴びていなかった皮膚とでは日焼けの度合いが異なっていたのだ。そのせいで鏡を見ると「もとの眉毛はこの大きさでした」ということがくっきり分かるようになっている。
なんでこんなことになったのだろう。
黒雨の眉は後悔の嵐に見舞われ、大惨事となっている。被害総額はいくらになるのだろう。悔やんでも悔やみきれない。事前に防止する手だては何かあったはずだ。
後悔先に立たず。
黒雨の三連休は最悪な形で幕を閉じることになったのであった。
完