やる気がない。
 なんと言ってもやる気がない黒雨さん。今日も今日とてやる気がないからやる気ゲージを満タンにすべく、やる気販売所へ足を向ける。
「いらっしゃいませ!」
 出てくるのはやる気に満ちあふれた店員。さすがやる気販売所。言い換えればやる気ショップ。店員も良いやる気を出している。
「やる気150ください」
「1万円になります!」
「高いな」
「じゃあ367円でいいですよ!」
 やる気がないので特に何も言い返さずに500円玉を渡す。
「500円からお預かりします。おつりはいらないです!」
「何で?」
「私へのご褒美にするんです!」
「それ、犯罪なの、知ってる?」
「知ってるけど、どうでもいいです!」
 やる気販売所店員は強者のようだ。やる気がないのでどうでもいい。
「じゃあ、やる気150入りまーす!」
「お願いしまーす!」
 どこからかハモって聞こえてくる店員たちのやる気ある声。どこにいたお前ら。
「1、2、3、ダー!」
 そう言って黒雨さん、背中を思いっきり叩かれて失神。財布を抜き取られて、生きていくやる気も失ったので死にます。
 さようなら。