『赤頭巾ちゃん気をつけて』
『赤頭巾ちゃん気をつけて』庄司薫/中公文庫/中央公論新社
ISBN:4122000068
読んだきっかけは佐藤友哉。
「新現実」のあおり文に庄司薫の名が出ていたので、読んでみたかったのだ。
んで、黒雨さんは庄司薫を読んで、結構気に入ったのですが、そうではなくてね。
角川の「新現実」で佐藤友哉を担当した編集は無能なのかと思った。
たしかに、庄司薫の作品に、佐藤友哉らしさはあるけれど(本来は逆の順番であるべきだが、あえてこう語る)、本質が全く違う。
表面だけを比較したら、似ている要素はかなりある。でも、人間の個体差以上のなにかが、佐藤友哉と庄司薫を決定的に割っている。
それは、時代ではない。確かに両者とも「時代性」の現れる文章を書いていて、それも妙なパロディを持ってくる人ではあるけれど、内容に抱いている感情が、本当に違う。
上辺だけで語るのなら、あれだけ時間差が開いておいて、両者の各文章の系譜が同じであるのは何故なのか、という疑問から切り口に考えていっても良いかもしれない。