『大久保町の決闘』
『大久保町の決闘』田中哲弥/電撃文庫/メディアワークス
ISBN:4073005359
なんと言っても古いですよ。この本。1993年。
巻末にある宣伝に、電撃CD文庫やら電撃ゲームがあります。Dengeki Softレーベル。フロッピーディスクに入ったソフト。PC9801対応。時代を感じさせすぎる。
とにかく田中哲弥の凄いところは、とんでもない馬鹿話を真っ向から描ききるところだろう。今の電撃ではまずこういった作家はいない。今の作家だったらどこかでツッコミの文章が入ってしまうだろう。
が、この『大久保町の決闘』はそうではない。明石市の大久保町がガンマンの町だ、という設定に対し、真正面から大久保町をガンマンの町として書く。多少の文章の難は、こんな馬鹿げたことをやろうとした心意気に霞ませていいだろう。
主人公はなんの気なしに行動したことが、ドタバタ劇を形作っていく様は見事と言うしかない。電撃文庫黎明期の怪作。