『涼宮ハルヒの暴走』
『涼宮ハルヒの暴走』谷川流/角川スニーカー文庫/角川書店
ISBN:4044292051
今回は連載2本+書き下ろしという構成。
書き下ろし長編とのかねあいもあるので、時系列の微妙なところをぬって書いてます。この点、角川スニーカーの場合うまく機能する作品とそうでない作品がありますが、今回のは断じて後者です。
まぁ、キャラクターの掘り下げはやっているので、書き下ろし長編が補完される機能はなきにしもあらずなのですが、毒にも薬にもならない程度の上乗せなので、純粋にキャラクターに興味を抱いていないと、これを読むのは厳しいでしょう。
ということで、黒雨にとって「涼宮ハルヒ」シリーズのキャラクターだけを取り扱ったような小説と言われても、わりとどうでもいいので、書き下ろし長編を望む限りです。
いえ、キャラクター性がこの小説に必要ないというのではなく、逆に欠かせないものだと思っていますが、必要以上にそれを望まないだけなんです。書き下ろし長編程度で十分だと感じてます。
なので、今作収録の書き下ろし中編が多少楽しめたくらいで終わりです。連載は連載で面白い試みをすれば、もうちっといけると思うんだけど、スニーカーと電撃の同時進行の中でそれを望むのも高望み過ぎるでしょう。というか、黒雨の趣味としてキャラクターものがダメなだけで、趣味を除けば、この小説のクオリティーは谷川流の仕事量に見合わないほど高いので、悪い作品じゃないです。
あー。たとえば無口な文学少女風味の異星人がちょっと感情を見せる瞬間とか好きなら読めばいいんじゃないかと思います。