『CARNIVAL』
『CARNIVAL』瀬戸口廉也
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上記のゲームの7年後の世界。ゲームと同じシナリオライター。
九条理紗の弟である洋一を主人公として、姉の逃亡の真相などを探っていきます。
まぁ、ゲームと同様に登場人物が良い感じに壊れてます。
洋一は恋愛感情は抱けないけれど、死体にしか性欲を抱けない人物。それが、素性の知れないけれど廃寺で売春やってた少女サオリと知り合ったりして一緒に姉の消息を探ったり探らなかったりしてます。
ある意味ゲームの完結というか、本当に蛇足的なエピローグなんだけれど、7年後に洋一視点でスタートさせたところで、その蛇足さを物語へ昇華させてます。それに正直舌を巻く。
ゲームと変わらず、はっきり言って誰も救われてない現実だっていうのに、そこはかとないハッピーな形で終わらせているのは何だろう。ゲームやってても思ったのだけれど。
世界は残酷で恐ろしいものかもしれないけれど、とても美しい。
思えば、そんなこと、僕らは最初から知っていた筈なんだ。
(PROLOGUE より抜粋)
この残酷で恐ろしい世界を、本当に残酷で恐ろしく描いておきながら、とても美しい物だと言っている。そうなのだ、この「CARNIVAL」という物語に触れた後、現実を残酷で恐ろしく感じながらも、とてもハッピーな終わり方だ、と黒雨は感じたんだ。小説版では、ゲーム版の物語の、本当に蛇足的な現実を描く。それでいてもなお、洋一とサオリの物語とからめることで、なんだか何一つ救われていないはずなのに、とてもハッピーな終わり方に感じれたんだ。
物語の終わりに。
最後に作者は書いています。
幼少期の飼育委員だったときの体験を。ニワトリの前で卵を割ってみたら、ニワトリが自分の子供である卵を殻までばりばりと食べてしまった体験を。
(この小説が)あの狭い飼育小屋の中みたいな世界だな、と思います。
(あとがき より)