『うるさい日本の私』

『うるさい日本の私』中島義道新潮文庫/新潮社
  ISBN:4101467218
 
 もともと洋泉社で出てたのが文庫化したやつ。
 というわけで、日本のスピーカーや車内アナウンスがうるさいうるさいと戦い続ける闘争録というべき本書。
 最終的に持っていく『「察する」美学から「語る」美学へ』のくだりは楽しいが、黒雨に染みついているものが「察する」美学であることが、読んでいてはっきりとわかってきた。
 黒雨はここまで考えられない流されるままなの基本的にどうでもいい生き方をしている人間というのはお判りの通りで、黒雨は中島義道先生のように、ここまではっきりと提言するなり闘うなりは出来ない。
 黒雨はとてもへちょいのです。
 
 だから、とても刺激的だけれど「慧眼」するに至らないことが自覚出来てしまうので、読んでいてとても悲しくなる一冊なんだよなぁ。いや、とても楽しいんだけれど。