『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』入間人間/電撃文庫/メディアワークス
ISBN:9784840238793
なんというか、いい意味でだまされたので、読後感すっきりで面白かったですよ。
んで、なんというか、例によってネタバレの予感満載の感想しか書かないから。以下。
一言でいうなれば、ものすごく親切なミステリ。
最初に読んでいて思ったのは、『憂鬱アンドロイド』とか『僕らはどこにも開かない』のような、そっち系のテイストの作品だと思ったんですよ。ミステリとかと全然なく、みーくんとまーちゃんという登場人物のやりとりを通してどうのこうの、的な。
なんせ、序盤でシチュエーションの説明はだいたい終わるんです。開始数ページで、連続殺人事件と失踪事件が起こっている街だと描写がある。そして開始してすぐに、過去になんだかんだあったまーちゃんが、失踪した兄妹二人を家に誘拐してきていることが提示されるのだ。隠すべきネタなどどこにもない。
そこから上記にあげたような、どこか壊れた登場人物の描写が続く。事件をバックボーンとしただけの小説かと思ってしまったのだ。なんせ、事件においての、だいたいの概要は提示されきってしまう。
電撃文庫風味で書いたミステリよりかは、ちょっとミステリ風味を効かせた電撃文庫のような作風なんですよ。
そこに落とし穴がある気がしてならない。
ミステリであることを前提として読んだら、この作品は確かに普通のミステリだ。特筆すべきところはない気がする。
ただ、この作品がミステリであるという前提で読まない場合において、ミステリとしてのトリックが際だってくるんだ。
言い換えれば、この作品の最大のトリックは、この作品がミステリではないと読者に思わせるミスリードなんじゃないだろうか。
なーんて邪推をしてみたりしました。
だって、これ最後の方読んで、ミステリだったことが一番の衝撃だったもんで。
あ、あと付け足すなら、このタイトルは秀逸。