『超人計画』

超人計画滝本竜彦角川書店
  ISBN:4048734814
 
 それはそれとして、『超人計画』を読むと滝本竜彦は文章に才能はあまりないかもしれないけれども、発想がよすぎる。発想に比例して文章があがっていくので、アイデア次第で化ける要素があるのが滝本竜彦像なんだけど。黒雨にとって。小説の第一作と第二作とも、文体としては「!」記号で叫んでいるのがよく目に付くけれども、それはものすごく安易な逃避でしかない。別に「!」をつけなくても語れるのに。それは作者自身が逃避しているのだから仕方がないけれども、それを押し出す形でストーリーや作者の内面という素晴らしいバックボーンの存在があって、そのせいで読める作品になって居るんじゃないかと。いや、普通に黒雨さんは楽しんだから。でも「普通に」という言葉はまったく誉め言葉じゃないね。