『週刊石川雅之』

『週刊石川雅之石川雅之/モーニングKC/講談社
  ISBN:4063288676
 
 しばらくは本の更新をしないので、書き損じた漫画とか音楽を書こうとするシーズンその一。
 てっきり書いたと思っていた石川雅之の漫画が、黒雨の日記に記述がなかったので再読もせずに書いてみる。
 
 石川雅之のこの短編集は、もうそりゃあもう、そりゃあもう発想の勝利だ。いわゆる小ネタだ。それが絶妙の空気感でカバーされている。シリアスもギャグも、すべて織り交ぜられるその作風は一体なんなんだろう。何が飛び出てくるのか、はっきり言って全く分からない。
 この短編集も、普通に何が出てくるか分からない。混沌。実に混沌としている。解説なんか不可能だと思う。それ以外の事を言うと、とてもネタばれになってしまうので書けないのもあるのだ。面白さが発想一つという瞬発的小ネタの作品のすばらしさを、紹介という形で表せない自分の文章力の未熟さが憎い。
 
 ともあれ、この短編集は必読。最初の短編「彼女の告白」だけでも手にとって読んでみて欲しいのです。すげぇよ。すげぇぇっぇぇぇ。何これぇぇぇぇぇっぇぇ。そういういわゆるありがちな結婚報告話が「彼女の告白」なのです。
 なんつーか、発想が素晴らしいとも言える作家なのだけれど、実態はそこにはない。そう、発想が素晴らしいというより、その発想を臆面もなくやってしまう所が凄いのだ。そして、妙に細かいディティールを画面に表しているのが凄いのだ。
 やっちゃうの? え、このネタこうまでしてやっちゃうの? しかもここまで気付かれなさそうなところまでやっちゃうの? みたいな。