『空の中』
『空の中』有川浩/メディアワークス
ISBN:4840228248
有川浩の二作目。
結構前振りが冗長的なんだけれど、その冗長さは嫌いじゃないかもしれない。有川浩の持ち味なのだろうか。
じわじわと話の構成要素を持ち出してきて、その構成要素が規定量に達したら、ぐわーっと話の展開がテンポ良く進みます。規定量に達するまでが、多分冗長的に感じられる部分なんだろうけれど。
この場合だと、UMAである空の中にいる知的生命体との2パターンの出会いと、それぞれの人間模様がちまちまちまちま描かれていて、ちょっとずつそれが話の前提として、この作品の世界観に編み込まれていく感じ。
実際に「ストーリー」として動いているのは、後半部分だけだったりするのです。後半部分にはそれまでに個々に描かれたことが全て重なって入ってくる。それまでは、まぁ前置きのための挿話というスタンスでしかない感じ。
でもその挿話部分のディティールは嫌いじゃないんすよね。それはそれで楽しいので、よかったかと。